「旅するように働いて、生きる」
夢のようなライフスタイルを実際に叶えた2人の著者が具体的なノウハウを書いた本、「モバイルボヘミアン」を紹介します。
ニュージーランド永住権が取れるまでの長い挑戦のあいだ、わたし自身も何度も手にとって読んだ本です。
モバイルボヘミアン レビュー
「ノマドワーク」という言葉も聞き慣れたこの頃。さらに新型コロナウイルス感染症の影響で在宅ワークをする人が増え、オフィス以外の場所で仕事をするスタイルは身近なものになりました。
ただこの本で紹介話されているのは、カフェや旅先で仕事をする=ノマドワーカーではなく、そのさらに先をゆく「モバイルボヘミアン」という生き方。
著者の本田直之さん、四角大輔さんは、それぞれ日本とハワイ、日本とニュージーランドでの2拠点生活をしながら、誰にも縛られることなく、自由に世界中をとびまわって仕事をされています。
”ノマドワーカーを「どこにいても仕事ができる人」とするならば、モバイルボヘミアンはそこに加えて、「仕事とプライベートの境がなくなってきている状態」を指す。”
本田さんは好きなサーフィンや釣り、旅を楽しみながら、それに関わる仕事を楽しんでいるので、「疲れたから休みがほしい」という気持ちがないのだそう。
わたし自身もいま海外移住をし、ニュージーランドで生活しています。できることなら家族でデュアルライフを送りたいという夢がありますが、現状は、子育てをしながら移住と生活はできても、旅をしながら自由に生きるというにはほど遠い状態です。
ついつい、「ただのハイスペックな偉人の話か?」「選ばれし上層部の人にだけできることなんでしょうね。」と思ってしまいますが、この本によるとそれは思考停止だとのこと。
著者のお2人が会社員からスタートし、いまの夢のようなライフスタイルを手に入れるまで、どのようなマインドで、具体的に何を積み重ねたのか?
海外生活を送る中でわたしもたびたび手にとり、いつもワクワクした気づきを与えてくれる1冊です。
著者のプロフィール
本田 直之 レバレッジコンサルティング 代表取締役
23歳 | 国際産業見本市主催会社へ就職 |
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26歳 | アメリカへ留学し、MBAを取得 |
28歳 – 31歳 | オラクル社、のちシティバンク銀行に就職 バックスグループに出資、経営に参画、雇われる側から雇う側にまわる |
33歳 | バックスグループをJASDAQに上場させる |
36歳 | レバレッジコンサルティング設立 |
38歳 | 初の著書『レバレッジ・リーディング』を出版 |
39歳 | 日本とハワイを行き来するデュアルライフを開始 同時期の2007年にiPhoneが登場 ライフスタイルそのものをビジネスコンテンツにして生きはじめる |
44歳 | 『ノマドライフ』を出版し、ノマドの先駆けに 世界中を旅するように生きはじめ、訪問国は55カ国を超える 以後、著書は53冊、監訳本は15冊、累計290万部を超える |
現在 | 日米のベンチャー企業への投資育成事業を行ないながら、サーフィ ン、食、トライアスロンをはじめ、仕事とプライベートの垣根のない生き方を実践している。 |
四角 大輔 Lake Edge Nomad Ltd. 代表取締役 執筆家/森の生活者 /Greenpeace Japan & 環境省アンバサダー
25歳 – 29歳 | ソニーミュージックに就職し、2年間の営業職を経験 メディア宣伝と平井堅などのアシスタントプロデューサーを兼任 |
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30歳 – 31歳 | スポンサー契約し、釣り専門誌へ初寄稿 担当したCHEMISTRYが記録的大ブレイク |
33歳 | CHEMISTRYがアーティスト年間売上1位を獲得 |
34歳- 38歳 | ワーナーミュージックにヘッドハンティングされる 担当した絢香がデビュー。1stアルバムがミリオンヒット 担当したSuperflyがデビュー。1stアルバム2週連続1位 |
39歳 | 絢香とSuperflyが女性アーティスト年間アルバム1位、2位を獲得 Lake Edge NomadLtd.設立 ニュージーランドで半自給自足の「森の生活」をスタート 執筆家、アドバイザー、釣りや登山のプロとして活動 日本とニュージーランドを行き来するデュアルライフを開始 |
42歳 | 著書『自由であり続けるために20代で捨てるべき50のこと』が ベストセラーに |
現在 | 「森の生活」を営みながら、世界中で「移動生活」を送り、オーガニ ック、アウトドア、ライフスタイルに関するアドバイザーやアンバサダ ーを務め、さまざまなクリエイティブワークを行なっている。 |
「一部のすごい人」だけができるんですよね?という疑問へのアンサー
まごうことなき華やかな経歴をお持ちのお2人。そんな人たちから「きみもできる」と言われても正直ツッコミどころ満載ですが、本を読み進めていくと、「ハイスペな2人にもこんな過去があったんだ」というエピソードが。
パソコンも触れず、英語はゼロ。英語の電話はガチャンと切ってしまったという本田さん。
対人恐怖症で、1人では喫茶店も入れず、渋谷や原宿を歩くのも怖かったという四角さん。
世界を旅しながらクリエイティブに働いているという著者の現状からは想像もできない姿。
もともと特別だったわけではなく、わたしたちのように「普通の人」からのスタートだったのだと知ると、「きみにもできる」という言葉を先程とは違う気持ちで受け取ることができます。むしろ、まだ大した努力もしていないのに「特別だったからできたんだろうなぁ」なんて思っちゃってほんとすいません。
ちゃんと正しい努力をすれば、きっとそのうち自分にも叶えられる気がする、と背中を押されます。
「自由に生きよう」系の本とは違うところ
「自由に生きよう」系の本はよくありますが、この本が違うのは、
「今すぐきみも海外へ行こう!」
「海外で自由なライフを送ろう」
などとフワーっとした無責任な書き方をしていないところです。
むしろ、「だれでも目指せる」が「すぐにはなれない」とハッキリ記載されています。お2人がこの生活を実現させるためにかけた準備期間はなんと15年!
こんなにすごい人たちでもこれだけの時間がかかったのか、と驚くと同時に、わたしたち夫婦もほぼ10年という年月をかけて、ようやくニュージーランド永住権までたどり着けたので、とてもリアルな数字だと思いました。(あくまでも個人の体験談です。永住権取得までにかかる期間は個人の能力やタイミングにより異なります。移住については必ず専門家の移民アドバイザーに相談してください。)
まして、お2人が準備をスタートしたのはスマホやインターネットもなかった時代。どんどん便利になるモバイルテクノロジーを駆使して味方につければ、その期間はもっと短くできるとの力強いメッセージ。
- どんな考え方・行動をすればよいのか
- 必要な装備
- こころと体のメンテナンス
といった内容についても具体的に書いてくれています。
24時間ずっと働いているような状態でも平気
土日返上でバリバリ仕事!残業徹夜上等!ということではもちろんありません。
”今のぼくたちは自分がやっていることが仕事なのか遊びなのか、はたまた休んでいるのかわからないし、「ワーク・ライフ・バランス」なんて言葉を気にもしていない状態だ。”
はじめのうちは、基本的なビジネススキルを身につけるためにいわゆる普通の働き方を長時間していたお2人。ただそれと同時に、何度も思考錯誤と実験をくりかえし、それぞれアウトドアやオーガニック、レストラン業など、「自分の好きなこと」と「仕事」が合致する精度がどんどん上がるように。
なので、24時間ずっと何かしているような状態でも、むしろ自分の時間を取り戻し、自分の人生を生きて充実しているんだそう。ただただ憧れます。
モバイルボヘミアンの本がおすすめな人・おすすめしない人
そもそもこの「モバイルボヘミアン」という生き方に向いていない人が、無理に実践する必要はないと書かれています。
モバイルボヘミアンの生き方に向いている人、向いていない人を、本の中から3つずつピックアップしました。
おすすめな人
- クリエイティブに考えられる人
- 実験し続けることができる人
- 「プロの個人」として生きたいと思う人
おすすめしない人
- 自由が苦手な人
- 時間労働者のままいたい人
- 変化を恐れる人
会社員とフリーランス、どちらの働き方がよいという話ではなく、「どうすれば自分らしくいられるのか」がいちばん大事なポイント。
いまの職種やできること・できないことは関係なしに、自分はどうありたいのか掘り下げてみるべきとのこと。
まとめ
この本を手にとったきっかけは、旅するように働き、クリエイティブに生きる「モバイルボヘミアン」という生き方がまさにわたしにとっての理想のライフスタイルだと思ったこと、そして本に登場する土地が、いま住んでいるニュージーランド、好きなハワイだったことでした。
わたしも海外に住んでいるとはいえ、世界を飛びまわっている著者の方々とは違う一般人。目の前の日常に追われて、コツコツと積み上げるエネルギーさえ残っていない日も多いですが、この本を読むたびに、有名な著者でも気が遠くなるような泥くさい準備を重ね、時間をかけて手に入れたのだと、インスピレーションをもらいます。
変化がめまぐるしい時代にこれからの働き方を変えたい、自由でいたいと思う方には、ぜひ読んでみてほしい1冊です。